僕たち夫婦は現在、飲食店開業に向けて物件を探したり、事業計画書を書いたりと毎日慣れないことにチャレンジしてます。(記事執筆時2021年1月)
お店を成功させるにあたって、大事なのが初期費用を可能な限り抑えること。
お店の経営者、商工会、銀行員、厨房設備屋さんなど様々な人にお話を聞き、どうすれば抑えられるかアドバイスをもらいながら日々勉強中です。
今回は、飲食店を開業に向けて初期費用を抑える方法について書きました。
僕ら自身飲食店経営・開業ともに初めてですが
- 学んだことの忘備録
- 同じように飲食店を開業しようとしている人のため
今後書いていくことに決めました。
興味のある方は見ていってください。
こんな方におすすめ
- これから飲食店を開業される方
- 開業にあたり初期投資を抑えたい方
初期費用を抑える方法は?
開業するにあたって初期費用は可能な限り抑えたいですよね。
初心者なら尚更です。
次の方法で初期費用を抑えていきましょう。
初期費用を抑える方法
- 地方ならではの補助金を活用
- 経営譲渡
- 居抜き
- 相見積もり
- 中古設備
- グラスの協賛品
- 大量購入で値切り交渉
- 有料コンサルタントを使わない
それぞれ説明していきます。
地方ならではの補助金を活用
まずは開業における地方の補助金制度です。
- 指定されたエリアでの開業
- 地域特産品を使用したフードビジネス
・・・など地方自治体で内容は異なってきますが、当てはまるものがあれば積極的に活用していきましょう。
ただし必ず役所などの問い合わせ先に直接内容を確認してください。
僕自身、ここで少し痛い経験をしております。↓
開業に向けて県の補助金制度をネットで見たところ、飲食店開業に向け使えそうなものを発見。
100万円ほどの補助金がでるとのことで
と考えていました。
物件探しの前に念のため役所に補助金制度について注意点など確認しておこうと聞きに行くとビックリ。
僕が開業を検討していた地域はその対象から外れていたんです。
しかも、『○○市を除く』という表記が公式ホームページには記載なし。
ちゃんと問い合わせしないと絶対分からないやつです。
補助金制度にはこんな落とし穴もあるので、皆さんも注意してください。
経営譲渡 M&A
実際に営業している(できる)状態で売却してもらいます。
価格はお店によって変わりますが、それでも一から始めるより初期投資を大きく抑えることができます。
さらにその店舗に
- ブランド力
- 評判の良さ
- 固定客の多さ
が備わっていれば初月からしばらくは黒字営業も現実的です。
経営譲渡 M&Aの注意点
M&Aで店舗を譲ってもらう場合、次の点で注意が必要です。
注意ポイント
- 適正価格での取引かどうか?
- 契約前に残業未払い・労災などの問題がないか?
- 急な変革は従業員・固定客離れの原因に
簡単に説明していきます。
適正価格での取引かどうか確認
価格についてはその金額が妥当かどうかを厳密に調査するべきだそうです。
(デューディリジェンスというようです)
つまり、ぼったくりが多いのかな?
厳密な調査結果をもとに価格交渉すればうまくいきそうですね。
契約前に残業代未払い・労災などの問題がないか?
この点については必ず確認しておきましょう。
契約後に発覚すると、こちらがその後始末に追われるハメになります。
思わぬ爆弾を押し付けられないようにしましょう。
急な変革は従業員・固定客が離れる原因に
お店を譲り受けてすぐに

と思う方もいると思いますが、ちょっと待った!
いくら経営者とはいえ、長く勤めている従業員や常連客との関係がまだ浅い段階で大胆な変革をするのは良くありません。
例えば、そのお店のメインメニューで
- 原価を下げるため材料を変更する
- 調理方法を変更する
などを安易に行って味を変えてしまった場合、味の変化に気づいた常連客が

と感じてお客さんが離れてしまうかもしれません。
従業員・お客さんとしっかりコミュニケーションをとった上で改善していくのが平和ですね。
居抜き
『居抜き』をうまく活用できると初期費用が大きく抑えられます。
居抜きとは
- 以前の店舗の内装・設備を譲り受ける形で借りる。
- 前店舗さんから譲り受けるので、家主との契約は関係はなし。
借りようとしている物件に、厨房設備・エアコン・内装・テーブルや椅子などがそのままついてくる感じです。
ついてくる範囲は物件によりけりですが、フルでついてくるケースは少ないと思います。
ただし次の点で注意しましょう。
注意ポイント
- 設備は老朽化していないか?
- 内装がコンセプトと合うか?
- 立地は良いか?
- 前店舗が撤退した理由は?
それぞれ説明していきます。
設備は老朽化していないか?
意外と見逃しがちなポイントです。
エアコンや冷蔵庫はもちろん、換気扇や排水トラップの状態なども注意が必要です。
といっても排水トラップの状態なんか素人では分からないですよね。
こちらは専門家の方と一緒に見ることをオススメします。
内装がコンセプトと合うか?
内装にも要注意です。
他設備の状態が良くても、コンセプトが合っていないと内装工事で思わぬ費用が発生することがあります。
先日行ったとある物件のお話です。
僕らは洋風寄りの内装を考えていたんですが、その物件は掘りごたつが多数ある和風なお店。
冷蔵庫とコンロにエアコンが付き。
広さも十分なので、和のイメージを変えたくて掘りごたつを撤去できるか厨房設備屋さんに相談しました。
現物を確認してもらったところ、しっかりと作り込まれているようで撤去するのにかなり費用がかかるとのこと。
完全に予算をオーバーしてきたのでその物件はヤメにしました。。
立地は良いか?
立地が良いのに越したことはありません。
人通りが多かったり、よく目に付くところにお店があれば宣伝をしなくても飛び込み客に期待できます。
開業当初~6カ月は特に集客に苦労する時期と言われていますので、立地の良さも重要です。
ただし時には妥協も必要です。
理想が高すぎて物件探しに時間かけすぎるとそれだけでお金がかかってしまいます。
立地の悪さを逆手にとった戦略(隠れた名店など)もありますし、戦略を練って集客がうまくいく見込みあれば問題ないと思います。
前店舗が撤退した理由
前店舗が撤退した理由は重要です。
不動産屋やその土地に詳しい人に聞いてみてください。
以下のような理由があがってくれば、その物件はマイナスポイントです。
- 近隣からのクレームが多かった
- 立地が悪く集客がうまくいかなかった
- トラブルがあった
売上げが好調でさらなる店舗拡大・もっと良い立地でお店をするための移転であれば◎。
経営が上手くいっていた実績があった場合、可能であれば前店舗さんに直接話を聞きましょう。
マナーとして、移転先のお店に一度ご飯を食べに行きましょう。
そして帰り際にアポをとって話を聞くのが良いと思います。
大切な時間を割いてもらうので、質問は予め優先順位を決めて最小限に。
設備の状態、近隣でのトラブルなどを確認し、問題がなさそうであれば良い要素ですね。
その人の雰囲気を見ながらどこまで聞けるかを見極めて・・・
運が良ければこうしたら集客がうまくいったなどの戦略面も教えてくれるかも。
あまりゴリゴリに聞くのは失礼ですので、おこぼれ程度にしておきましょう。
ここで経営者の方と関係が築ければ、今後良い情報を教えてくれたりするかもしれません。
先日僕が見に行った物件は設備の状態も良く、内装もお店のコンセプトとピッタリでしたが立地がイマイチ・・・
戦略でカバーできないかを検討中です。。
大家さんなどに話を聞くと、前店舗さんの経営はうまくいっていた上での移転だったようです。
(移転先は繁華街により近くなり、規模もパワーアップ)
近々直接お話を聞きにいこうと思います。
相見積もり
基本的に下げることを前提に見積りを提出してくる業者さんが多いです。
そのまま1社だけで決めてしまうと思うツボ(こちらが損する)の可能性があります。
少なくとも3社は見積もりを出しましょう。
そして、相見積もりをとることを業者にも暗に伝えておいて下さい。
すると

と言われることもあります。
ただし人脈からの繋がりの業者なら相見積もりはしないほうがいいかも。
その場合、値下げ交渉はちゃんとしましょう。
中古品
冷蔵庫やエアコンなど、中古で良いものがあれば活用していきましょう。
ただし営業中に故障してしまうと売上に影響してくる恐れがあります。
機器の状態などからおおよその交換時期について業者さんに確認おきましょう。
グラスの協賛品
酒屋でビールのグラスなどを無料で提供してくれるケースがあります。
『グラスにもこだわりたいから協賛品はちょっと・・・』と考える人もいますよね。
僕らもこだわりたい派でした。
でも一つ一つこだわると思ったよりお金がかかるんですよね・・・これが。
開業前の今はカクテル系のグラスのみこだわり、あとのグラスはなるべく協賛品で済まそうかなと考えています。
お店のコンセプトにもよりますが、個人的に多少は線引きして費用を抑えた方が良いと思います。
大量購入で値切り交渉
お皿や備品など、1つの店舗で大量購入すると値切り交渉がしやすくなります。
そこで関係を作っておくと、お店の宣伝をしてくれる場合もありますし。
人脈を使って紹介してもらったお店で購入するようにするとより効果的。
有料コンサルタントは使わない
飲食店開業にあたっては
『専門家の意見を取り入れながらやっていく』
ことが大事と言われていますが、絶対に有料のコンサルタントをつける必要はないと思います。
有料コンサルタントの怖いところは、大した実績がなくても名乗れるところです。
せっかくお金を払ったのに、本やインターネットで学べるくらいのなんちゃってコンサルタントなら不要ですよね。
個人的な意見ですが、まずは次の人たちに相談するのが良いと思います。
- 家族・友人
- 商工会
- 厨房機器屋
- 実際の飲食店経営者
家族・友人
まずは身内から相談していくのが良いですよね。
ここで工務店・不動産屋・厨房機器屋・実際に飲食店を経営している方などがいれば、積極的に相談していきましょう。
第三者よりは気軽に相談しやすいですし、身内ということで親身になってくれると思います。
僕の身内にそういう分野に詳しい方はいませんでしたが、そんな方でも相談に乗ってくれるところはまだあるので大丈夫です。
商工会
前項での人脈が無い方は、まず商工会がオススメ。
開業の流れ、事業計画書の書き方などを詳しく教えてくれます。
ここで1つ僕の体験談。
僕の相談に乗ってくれた担当はなんと銀行から出向中の方でした。
お店の規模とコンセプトから融資額の相場(初期投資の目安)を聞けたり、融資の審査が下りるコツなんかも聞けたりしました。
ただし商工会は基本的に中立の立場なので、オススメの工務店や厨房機器屋を特別に紹介したりはできないそうです。
もしかしたらウッカリ喋っちゃうこともあるかもしれませんが・・・
ここで相談に乗ってもらうことで、これからの動きが少し明確になってきました。
ちなみに商工会では事業主の方々と情報交換ができる『青年部』という交流の場が設けられています。
会員はみんな社長で恐縮な部分もありますが、多くの方と知り合える機会になります。
入会は開業後になりますが、人脈をもっと広げたいという方にはオススメです。
厨房機器屋
僕らが今一番相談に乗ってもらっているのが厨房機器屋さんです。
飲食店開業の経験が無い僕たちにとって、お店の物件探しから営業開始までは分からないことばかりでやっぱり不安でした。
そういった専門家の人脈は無かったのでネットで検索。
するととある厨房機器屋さんのホームページに『開業までのトータルサポート』と記載がありました。
会社の規模は3人くらいでアットホームな雰囲気です。
サポート費用がどれくらいかかるか分かりませんでしたが、電話でアポを取り社長さんに直接話を聞きに行きました。


これには少し驚きました。
1時間ほど話し込み、気になる点を質問していきました。
無料のサポート内容
- 開業相談
- 厨房アドバイス
- 物件の状態確認(厨房設備・排水・内装)
- 各業者(不動産・デザイナー・工務店・酒屋・肉屋など)の紹介
ここからは有料
- 銀行借入見積もり作成
- 厨房機器販売
- 内装工事
- アフターメンテナンス
無料の範囲が思ったより広いので驚きました。
ただ気になるのはそのサポートが信頼できるかどうか?
実績についても確認。
結果、僕らがやろうとしているお店のジャンルも複数経験があるようでした。
実店舗を挙げて説明してくださったので信頼度も悪くありません。
社長さんも元々は厨房機器の企業で10年勤務→独立して今の会社を設立して18年。
キャリア28年の大ベテラン。
人柄も良く親身に相談に乗ってくれるので、今は厨房機器屋さんにサポート(無料部分のみ)していただきながら物件を探しています。
飲食店経営者
実際に飲食店を経営している方に話を聞くのが一番だと思います。
僕らは飲食店経営者に知り合いがいました。
そのお店は夫婦で飲食店経営未経験での開業。
そして6年が経ちましたが現在も営業中。(最初の1年以外は黒字)
下記の数字を見てもらうと分かると思うんですが、6年続けられるって結構すごいことなんですよね。
- 起業後2年以内の生存率:20%以下
- 起業後5年以内の生存率:5%以下
僕たちはそのご夫婦にアドバイスを貰いながら現在開業に向けて活動中です。
これは人脈が無ければ難しいですが、商工会の青年部に入会すれば意外と簡単に知り合えるかもしれません。
飲食店経営者の知り合いがいない方にはオススメです。
初期費用を抑える重要性について
初期費用を抑えることは安定した経営をするには重要な要素です。
キッチリ抑えることができれば、営業を開始した際に次のメリットがあります。
メリット
- 黒字に転換しやすい
- 十分な運転資金の確保
黒字に転換しやすい
初期費用がかかると国金や銀行からの借入れ額・それに伴う利子も大きくなってしまいます。
売上が良くても毎月の返済額が高すぎて赤字になってしまっては元も子もありません。
初期費用を抑えることができれば借入れ額も少なく済み、黒字に転換しやすいです。
十分な運転資金の確保
開業するにあたり、最も重要なのがこの運転資金だと思います。
個人の飲食店経営者の方に話を聞くと口を揃えて言われるのが
- 最初の1カ月は興味本位でお客さんが殺到
- 2~5カ月はなかなかお客さんが来ない
- 6カ月以降 固定客がついてくる
- 1年目以降 売上が安定してくる
期間はあくまで参考程度に。
注目してほしいのは『2~5カ月はなかなかお客さんが来ない』という部分です。
この期間はほとんどの飲食店(個人)に訪れるようです。
本当に精神的に苦しい時期でストレスマックスになるそうです。
(これから味わう予定なので怖い・・・)
辛い時期を乗り切るためには運転資金を十分に準備しておかなければなりません。
知り合いの経営者さんのお話を一つ紹介します。
その方は開業の際に銀行からの融資がおりませんでした。
初期費用を全て自己資金でまかなう必要があったため、リースや居抜き物件を利用し何とか開業にこぎつけました。
運転資金はわずかしか残らなかったようですが

と当初は考えていたようです。
最初のひと月は確かにお客さんが殺到して売り上げも好調。
しかし翌月にはお客さんがなかなか来ない期間が到来。
5カ月目を迎えた時、運転資金は残りわずか・・・
(もうだめかもしれない)
そんな中、次の転機が訪れました。
- お店の近くに大型デパートが完成→人が集まり飛び込み客が増える見込み
- 雑誌にも取り上げてもらった→お店の存在のアピール、新規顧客の獲得期待度UP
売上が急に上がったわけではありませんが、これらのプラス要素が増えたため銀行に再度融資を申請。
すると審査が通り、200万円の資金を調達できたそうです。
その資金で危機的局面を乗り越え、現在も5年以上継続して営業しています。
コロナ禍でも根強い固定客に支えられ何とか経営できているとのことです。
大型デパートの件は開業当初の戦略に入っていたかは分かりませんが、お店の雑誌掲載に至るまではやはり地道なビラ配り・ポスティングなどをやっていたようです。
運の要素もありますが、運転資金は潤沢にあった方が良いのは間違いありません。
銀行からの融資がおりていなかったら・・・怖いですね。
初期費用を上手に抑えて安定した経営を目指そう!
まとめです。
初期費用を抑えるポイント
- 地方ならではの補助金を活用
- 経営譲渡
- 居抜き
- 相見積もり
- 中古設備
- グラスの協賛品
- 大量購入で値切り交渉
- 有料コンサルタントを使わない
初期費用を抑えて安定した経営を目指しましょう!(自分に言い聞かせてます)
私情ですが、執筆時点で
- 物件探し
- 事業計画書作成
- レシピシート作成
- メニュー考案
- メニューの練習
- 必要器材の見積もり
- 販促・PR方法
を並行している段階で頭が少しパンパン。
まだまだ知識・実力とも不足してますが、成長の過程も無駄にせずブログにしていきます。
以上!
ありがとうございました。