飲食店開業前、人の命に関わることだから食中毒には注意しないと!と思い、衛生管理の教科書等で勉強してました。
そして開業6カ月後、
少し厳しめに考えていた部分もありましたが、それでも周りの他飲食店・業者さんたちを見て(それで大丈夫なの?・・・)と思うことがよくあります。
今回は飲食店で経営・料理する立場から他飲食店・関連業者さんの衛生管理を実体験で書いていきます。
飲食店・関連業者さんの衛生管理の実態
僕がこれまで経験してきた飲食店・関連業者さんの食中毒的に良くない行動、不安に思ったことはこちら↓
- 料理店 生肉触った手で色んなとこベタベタ触る
- お肉屋さん 生肉触った手でレジ打ち
- お肉屋さん お肉のトレー外側に生の肉片
- チェーン店焼肉屋さん サラダやキムチが怖い
- 大手チェーン店のレアハンバーグは生食用ではない
- グリストラップ清掃業者 汚いとこベタベタ触る
- 害虫駆除 作業中地べたに調味料ボトル置く
書いてて我ながら潔癖症だと思いました。
でも僕自身、以前は汚いところ全然平気だったんです。
飲食店を始める前は工業系の仕事で衛生環境のあまり良くない現場で作業してました。
ゴキブリは素手で倒せるくらいの性格だったんですが、今では小さな悲鳴が出ちゃいます。
食中毒勉強するとこうなるんかな?
それではそれぞれの出来事について説明していきます。
料理店 生肉触った手で色んなとこ触る
これは鉄板焼き屋さんでプチ修行をしていたときの出来事。
生肉を触った後、コテを握ったり、お客さんに提供するお皿をそのまま持ったりしてました。
それが気になり
と聞くと
と言うんですが、もはや無意識レベル。
その後も生肉を触った手でそのままコテ持ったり皿持ったり・・・
別飲食店でプチ修行しに行った際には、生肉を触った手をエプロンで拭いてる方もいましたね。
この『生肉触った手をエプロンで拭く』っていうのが結構飲食店あるあるな気がします。
全く何もしないよりは効果はあると思いますけど、それでもダメです。
忙しい時、これをやりたい気持ちはめちゃくちゃ分かります。
毎回『手を洗う』という手間さえ惜しい!
オペレーション的には楽なので『生肉を触った手で触れても良い部分を決めて営業する』というのも考えましたが
忙しいからここも触っていいや!
と横着しそうなので×。
他従業員が知らないで触って色んなとこに菌を拡散させる恐れがあります。
うちでは営業中、トングやお箸を使用することで生肉には直接触らないようにしています。
お肉屋さん 生肉触った手でレジ打ち
僕がよく行くお肉屋さんの一つで、"衛生管理認定店"みたいな賞状を貼っているお店で見た出来事です。
店の中の方で作業していた店員さんが生肉を触った後、手を洗わずそのままレジ打ちしていました。
某ステーキ店(大手チェーン)でもこれは見たことあります。
もしかすると生肉を触った手で触っても良い部分を決め、1日に数回アルコール消毒したりしているかもしれません。
でもそういうルールは忙しかったり焦りがあると人間簡単に破ってしまいそうですし、バイトやパートの方に食中毒の意識があるのかが疑問。
お肉屋さん 肉のトレー・袋の外側に生の肉片
スーパーやお肉屋さんのトレー外側ってキレイなのかな?
お店を開業してからこれが気になりだして軽く見るようにしてたんです。
(さっきのお肉屋さんのレジ打ちもあるので・・・)
たまにお肉のトレーの外側が少しベタベタしてるように感じたこと皆さんもありませんか?
"衛生管理認定店"みたいな賞状も貼ってるお肉屋さんだけど、うちの店で食中毒があったら怖いので生肉は野菜など他の食材と分けて持ち帰ったりしてたんですよね。
そしたら
- 肉のトレーの外側に生の肉片
- 生肉を袋に入れてるタイプの商品の絞り口に生の肉片
- 真空パックの外側に生の肉片
が付着していたことがあるお肉屋さんで何回かあって・・・
全てのお店でこういうことがあった訳ではありませんが、肉のトレーは小袋に入れたり、生で食べる野菜などとは分けて持ち帰る方が安全です。
チェーン店焼肉屋さん サラダやキムチが怖い
チェーン店の焼肉屋さんで加熱して食べないサラダやキムチが怖いんです。
大体若いバイトの子がよくいるイメージですが、果たして
- この子たちが本当に食中毒の怖さを知っているのか?
- ちゃんと教育されてるのかな?
ってすごく気になるんですよね。
生肉が付いたお皿を下げるときに少し肉汁に手が触れる➡そのあとサラダを運ぶ➡サラダで食中毒
みたいなことを想像してしまうんです。
ホールのオペレーションだけ教えて食中毒については教えないでバイト雇ってるお店があるんじゃないか?
と勝手に偏見してしまいます。
怖いけど、そういうところを見ながらいつも食べにいってます。(行ってるんかい)
大手チェーン店のレアハンバーグは生食用ではない
大手チェーン店で見かけるレアハンバーグ。
あれ、"生食用の肉"ではないんです。
トリミングをしたものを使っているものの、トリミング自体食中毒対策にはベストな方法ではありません。
これは以前書いた記事に詳細載せてますので、良かったらこちらをみてください。
【食中毒】レアハンバーグは食べちゃダメ!危険性について徹底解説
グリストラップ清掃業者 汚い手で厨房水道レバーを直接触る
うちではグリストラップの清掃を業者さんに依頼しています。
グリストラップ自体は店の外にあり水を使って清掃するのですが、外に水道が無いため厨房の水道からホースを伸ばして使ってるんです。
厨房の水道にホースを接続する際に汚い手でレバーや調理台を触ったりされます・・・
業者さんあるあるなんですが、仕事柄不衛生な環境に結構慣れてるんですよね。(僕も工業系の現場仕事10年やってたので分かります)
これは仕方ないので、自分でアルコール消毒してます。
害虫駆除 作業中地べたに調味料ボトル置く
店内に出てくるゴキブリなどの対策で、業者さんに月1回害虫駆除の薬品を厨房に散布・設置してもらってます。
この時、作業台下の棚に置いている調味料ボトルが邪魔なようで、当たり前のように地べたに置かれます(笑)
いや、汚いからやめてくれよ・・・
と心の中で留めて、作業が終わった後自分でアルコール消毒してます。
次から調味料ボトルは予め避けておくなど対策しようと思います。
なぜここまで衛生管理が雑なのか?
僕は以前、工業系の仕事(現場系)を10年以上しており不衛生な環境に結構慣れていたのですが、飲食店を始めるにあたり食中毒について勉強。
今では若干の潔癖症・ゴキブリを見ると小さな悲鳴を上げてしまうくらい衛生管理に気を付けるようになりました。
そのせいか目に付く飲食店、お肉屋さん、他業者さんの無神経な所業
なぜこういう風潮が広まっているのだろう?と考えた結果、この2点が主な原因かなと思います。
食中毒の責任➡最後に調理した人
食中毒の責任は、結局その食材に最後に手を加えた人の責任
になりがちです。
極端ですが、分かりやすいのが焼肉。
焼肉は生のお肉をお客さんに提供して焼いて食べてもらうのが前提です。
もし生のお肉をお客さんが食べて食中毒を起こしたとしても、焼いて食べてもらう前提なので焼肉屋さんには責任はありません。
他にも
お肉屋さんで買った肉のトレー外側に食中毒の原因となる菌が付着
そのトレーが生野菜に付着し、それをそのまま食べる
食中毒
となってしまった場合も
お客さんの持ち帰り方が悪くて、トレーが破れて肉汁がついたんじゃないのか?
と反論し、その後もし普段の衛生管理状態について立ち入り検査があったとしても、その場しのぎで
ちゃんとやってます
で対応できるんじゃないかと。(被害者が多数いる場合はムリだと思いますが)
業者さんがめちゃくちゃ汚い手で食材や厨房の作業台に触れ、それが原因で食中毒が発生したとしても
となるんじゃないかと。
大人は発症・重症化しにくい
大人は子供や高齢者と比べて免疫力が強い分、食中毒が発症・重症化しにくいです。
なので
と言っている大人が多い気がします。
以前紹介した食中毒の記事で
家族そろって食中毒になったが、子供だけ亡くなってしまった
という事件がありました。
大人の方は自分の責任で食べて問題ありませんが、お子さんや高齢者には十分注意する必要があります。
食中毒 現実的にどこまでケアする?【家庭内】
重症化すると命を落とす恐れのある食中毒ですが、徹底的にケアするのも大変。
ということで、家庭内で無理なく?できる範囲でやってほしい・意識してほしいことをピックアップしました。
- 生肉や不衛生なところに触れたら手洗い
- 生肉に触れた手・調理器具で生食の食材を扱わない
- 生肉と野菜で調理器具の使い分け
- 調理手順は生食(サラダ等)の食材➡生肉
- 『75℃以上1分間は加熱』を意識
- 30℃~40℃が一番菌が増えやすい
生肉や不衛生なところに触れたら手洗い
生肉や不衛生なところに触れたら手を洗って他の作業に移りましょう。
特に生肉には要注意。
もし0157など凶悪な菌に汚染されていた場合、少量の菌でも重症化する食中毒が発生してしまいます。
生肉に触れた手・調理器具で生食の食材を扱わない
これは皆さん感覚的にやっていると思いますが、絶対にやっちゃダメです!
焼肉屋さんで生肉に触れたトングを使って取り分けたサラダを食べた家族が食中毒になり、子供が亡くなってしまったという悲しい事件が起こっています。
生肉に触れた手・調理器具で生食の食材を扱わないようにしましょう。
調理手順は生食(サラダ等)の食材➡生肉
調理手順は生食用(サラダ等)の食材➡生肉の順に調理するのが良いでしょう。
生肉から調理した場合、汚染された手や調理器具を介して生食用の野菜に菌が付着し食中毒になってしまう恐れがあります。
逆にサラダなど生で食べる食材を先に調理しておけば、生肉の菌がサラダに付着するリスクは低減します。
もし生肉から先に調理する際はしっかり手や調理器具を洗ってから作業しましょう。
生肉・生魚と野菜で調理器具の使い分け
調理器具は"生肉・生魚用"と"野菜用"で使い分けましょう。
使い分けるだけでも食中毒のリスクはかなり下がります。
理想は『使い分け+定期的な熱湯消毒or漂白剤消毒』ですが面倒だという人の方が多いはず。
せめて調理器具の使い分けだけでもオススメします。
『75℃以上1分間は加熱』を意識
食材を加熱するときは75℃以上で1分間加熱することを意識しましょう。
ここで料理を普段しない人が勘違いしてしまいがちなのは、食材の中心温度も75℃以上といういことです。
例えばハンバーグ。
強火で加熱するとすぐ外表面は焼き色が付きますが、食材の中心には全然火が通っていません。
火が通りにくいものは弱火~中火でじっくり加熱し、75℃以上で1分加熱することが食中毒を防ぐため重要となります。
※65℃以上でほとんどの菌は死滅すると言われているが、基本的には75℃以上推奨
30℃~40℃が一番菌が増えやすい
30℃~40℃の温度が一番菌が増えやすい環境と言われています。
そういった温度の場所に食材や料理を置いてしまった場合は、においや見た目に注意しレンジなどで再加熱(75℃1分を意識)して食べましょう。
明らかにすっぱいニオイなどがしていれば食べずに捨ててください。
自店での衛生管理
前項で紹介した衛生管理に加えて、さらに自店で取り組んでいる衛生管理を紹介していきます。
これはあくまで飲食店としてやっていることですので参考程度に。
- 生肉はトングやお箸で扱い、持つ部分を定期的にアルコール
- 水道を使用する時は肘で
- 外のゴミ出しは営業終了後
- 生肉・生魚と野菜を扱うエリアは分ける
- 食材の回転率は2日を目途にする
生肉はトングやお箸で扱い、持つ部分を定期的にアルコール消毒
調理する際、生肉はトングやお箸で扱い、持つ部分は定期的にアルコール消毒しています。
正直手で直接持ってやった方が早いですが
- 毎回手を洗う必要がある
- 生肉を触れた手で触っていいものを決めるのも考えたが、忙しい時に横着しそう
などの理由からトングとお箸で対応しています。
水道を使用する時は肘で
水道を使用するときはレバーを肘で上げ対応するようにしています。
これ、実は保健所の指導内容の中にもある衛生対策なんです。
生肉を触れた手を洗う時に水道のレバーをその手で上げるとレバーが汚れてしまいます。
手洗い後、手でレバーを下げると先ほどの生肉の汚れがついているのでまた手が汚れてしまいます。
昔は水道ひねって回すタイプが多かったと思いますが、食中毒対策の一環で今では保健所もレバータイプのものを推奨しているんです。
今後飲食店を開業しようと考えている方は、居抜きの物件探しでこういった部分も見ておくと良いと思います。
外のゴミ出しは営業終了後
外のゴミ出しは営業終了後にするようにしています。
もちろんゴミ捨て後に手を入念に洗っていますが、営業前に捨てると食中毒のリスクが少し上がるかなと。
生肉・生魚と野菜を扱うエリアは分ける
先ほどの調理器具の使い分けと同じ理由です。
僕の作業場は生肉・生魚など加熱調理する料理、嫁さんの作業場ではサラダなど生で提供する料理を作っています。
作業するエリアも分けることで食中毒のリスクは低減できます。
食材の回転率は2日を目途にする
食材は2日で使い切ることを目安に仕入れています。
家庭だと常温保存する野菜もあるかと思いますが、うちのお店では野菜は全て冷蔵。
冷蔵庫内のスペースも限られていますし、大体2日で使い切るようにすることで食中毒のリスクも低減できます。
まとめ
まとめです。
飲食店・関連業者さんの衛生管理の実態
- 料理店 生肉触った手で色んなとこベタベタ触る
- お肉屋さん 生肉触った手でレジ打ち
- お肉屋さん お肉のトレー外側に生の肉片
- チェーン店焼肉屋さん サラダやキムチが怖い
- 大手チェーン店のレアハンバーグは生食用ではない
- グリストラップ清掃業者 汚いとこベタベタ触る
- 害虫駆除 作業中地べたに調味料ボトル置く
なぜここまで衛生管理が雑なのか?
- 食中毒の責任➡最後に調理した人
- 大人は発症・重症化しにくい
食中毒 現実的にどこまでケアする?【家庭内】
- 生肉や不衛生なところに触れたら手洗い
- 生肉に触れた手・調理器具で生食の食材を扱わない
- 生肉と野菜で調理器具の使い分け
- 調理手順は生食(サラダ等)の食材➡生肉
- 『75℃以上1分間は加熱』を意識
- 30℃~40℃が一番菌が増えやすい
自店での衛生管理
- 生肉はトングやお箸で扱い、持つ部分を定期的にアルコール
- 水道を使用する時は肘で
- 外のゴミ出しは営業終了後
- 生肉・生魚と野菜を扱うエリアは分ける
これからも衛生管理を徹底して自店で食中毒を起こさないようにしていきたいと思います。
ご家庭でもこれらのことを踏まえて料理していけばそう簡単に食中毒は起こらないと思います。
また何かあれば追記していきます。
以上
ありがとうございました。